僕の生徒を紹介します









“3年1組 責任者:西沢”
教科担は英語です。
基本僕は黒板消すの、早いです。うかうかしてると、書き写す前に消しちゃいますよ。


ノートの隅の悪戯
相田ミカ×遠藤カイ



一番前。
相田ミカはいつも、授業が終わると隣の席の遠藤カイに、手を伸ばす。

「ごめん、ノート見せて」

「………」

明るい相田とは対照的に内気がちな遠藤は、伸びた前髪の隙間から彼女をうかがうように見た。

「ニッシー消すの早いんだよね」

教科書をまとめる僕に、その声の主は、こちらに視線を向けた。わかってたけど、気づかないふりして背を向けた。


「いいけど…」

おずおずと差し出されたノート。相田は満面の笑みを浮かべて、それを受け取った。速やかに書き逃した箇所を写していく。

写し終わったのか、手の動きを止めた彼女は、ペラリとページをめくった。

前回の授業。
片隅に書かれた文字。

“寝癖、左耳の上んとこ”

それは相田の筆跡。その下に、遠慮がちな小さな字で書かれた返事。見つけた彼女は、誰にもバレないように小さく笑った。

“直す時間がなくて…”




今日も彼女は、遠藤のノートの片隅に小さな落書きを残した。


“ブレザーの袖のボタン、とれそう”


そう書き残して、相田は遠藤の方へ体を向けた。「ありがとう」と微笑んで、彼女は席をたった。


──…

「ニッシー、消すの早い」

わざとかな。
相田と遠藤のやりとり、見るの楽しいからね。なんて口が裂けても言えないから、書くのが遅いんだって笑ってやった。


きっと相田は今日も、授業が終わったら遠藤にノートを借りるんだろう。そして写し終わったら、なんでもない顔をしてお礼を言う。



ノートの隅に可愛い悪戯を残して。

“いつもありがとう”


────────…
(あ、ボタンついてる)

(テスト前にノート集めるの楽しみだな)



配布元:金木犀ノスタルジア
管理人:彼方様






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