僕の生徒を紹介します








学校で一番ベタな、休憩場所。
たまたま出くわしたのは、変な二人でした。




屋上からの景色は
屑谷隆平×佐伯大輔



『キーンコーン…』

昼休みの屋上。春の日差しに誘われて眠る屑谷。始業のチャイムに気づかないまま、目を閉じて寝息をたてていた。

5限はなんだったか…思い出したら、すっ飛んでいくに違いないが。


『ガチャッ…ギィーー……』


そんな錆びれた音にも気づかない。


「……屑谷?」

「……すー…」


同じ学年。黒いスリッパの足元。

「珍しいな、体育さぼり?」


「……っ!?」

“体育”その言葉が屑谷の鼓膜を揺らし、脳で判断してから、勢いよく体を起こした。


「体育!?」

「すごい反応。忘れてたの」

「佐伯。…お前は?」

佐伯大輔。
クラス、学年ともにトップ3に入る秀才。なに考えているのかわからないような表情。不思議な男。


「体操着忘れた。草野(体育の教科担任)さ、人に借りると鬼畜なペナルティくれるから、体調不良で抜けてきた」

「まあ、確かに。あー遅刻してくのも草野の野郎起こるよな。鬼みたいなこと言うに違いない」

佐伯は嘆く屑谷の隣に腰をおろし、フェンス越しにみえるグラウンドを見下ろした。普段は男女別々だが、この時期はスポーツテスト。つまり男女混合。張り切る男子の大声と、女子の黄色い悲鳴。


「屑谷、勿体ない」

「え?」

佐伯は視線の先を指差し、50mのラインを眺めた。今日は一番見せ場の50mの日か。

「マサには勝てない」

クラスに一人はいる、スポーツ万能な運動馬鹿。屑谷はマサというクラスメイトの顔を思い浮かべて、ため息をついた。


「佐伯こそ、いいのかよ」

「俺は別に」

佐伯大輔。
冴えないように見せかけて、文武両道。特に整えられているわけではない髪の毛が、酷く不釣り合い。


「あーマサ、ぶっちぎり」


屑谷は諦めの色をうかべ、佐伯の横で空を仰いだ。屑谷は背が高い。190近くある身長と、長い手を伸ばして預けた背中。コンクリートはひんやりとしていて、それでいて日差しは暖かい。

「屑谷ってさ、そうしてるとでっかいモモンガみたい……え?ごめん、気分悪くした?」


「……あ、いや」

屑谷は寝転んだまま佐伯を見上げ、驚きに目を見開いていた。

「佐伯って普通にしゃべれるんだなー…って…いや、なんていうか、佐伯普段無口だし、そういうこと言うの、意外だなって」

「そお?」


佐伯から空。移した視線の先には真っ青な空が広がり、小さな雲が浮かぶ。その隙間を縫うように飛ぶ、鳥と鳥。


「あーもう一眠りしようかな」

「この授業終わったら起こそうか」

鳥は仲良さげに戯れながら、自由自在に空を舞う。小さなその声も、聞こえてくる。

「うん、頼む」


屋上という小さな場所から見た、空という大きな場所。
それはどこまでも広がる、真っ青な空。



─────────…
(でっかいモモンガって、パラグライダーみたいな感じ?)
(こうしてみると本当に、屑谷ってでかい)



配布元:金木犀ノスタルジア
管理人:彼方様








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