僕の生徒を紹介します








ある日の放課後。
たまたま通りかかった公園。

ランドセルの並んだベンチ。
楽しげな声と、元気な足音。


小学生とおにごっこ
相田ミカ×河田雪菜



「きゃー」

「待てー…よっ、タッチ!」

「おねーちゃんずるいー」


学校から数十メートルほどしか離れていないその公園。
小学生に混じった、うちの制服を着た女子生徒。それが自分のクラスの相田ミカであると気づくのに、時間はかからなかった。

小学生に負けないくらい元気な声。
そして同じように走り回る姿。


相田ミカは、典型的な元気女子。


そんな彼女と数人の小学生を眺める僕の視界に入った、またもやうちの制服を着た女子生徒。


相田たちを見ているのか、かなり遅いペースで歩くその生徒。

「タッチー!!」


「あっ危ない!」

相田の焦った声。

「きゃっ」

と、ほぼ同時に聞こえた悲鳴。
間髪入れずに響く鳴き声。反射的に駆け寄ろうとして、足を止める。

「大丈夫?」

「いたーい。ぐずっ」

「うわー擦りむいちゃったね。とりあえず洗おう」

相田ミカは、膝を擦りむいたその子を抱き上げ、近くの水道へと走った。
擦りむいた膝を丁寧に洗い、相田は何かを思い出したように考え込んだ。

「…あの…」


相田たちを見ていた女子生徒。
河田雪菜だ。大人しい彼女は、まだ新しいクラスにうまく馴染めないでいる。
そんな河田が、声をかけた。

「雪菜ちゃん!」

「あ、えと…これ…よかったら、使って」

河田が差し出したのは、パステルカラーのハンカチと、絆創膏。相田は目を輝かせてそれを受け取った。


「ありがとう。持ってないから、どうしようかと思ってたんだ」


そう弾けるような笑顔で言って。
河田もそれにつられたように笑って、「大丈夫?」と声をかけていた。

なんとなく、じんときた。
内気な河田が自分から声をかけるなんて…相手が誰にでも人懐っこく笑う、相田だからかもしれない。それでも、嬉しかった。


絆創膏を膝に張った少女が元気に立ち上がり「お姉ちゃんも一緒にやろう!」と、河田の手をとった。

ああ、そういえば河田は保育士を目指しているんだったかな。


ぎこちなく頷いた河田に、相田が最高級の笑顔をプレゼントして、鬼ごっこが再開された。


春の柔らかい日差しの下。楽しげな悲鳴をあげて、新しい季節の始まりを喜ぶように走り回る。

僕は手に下げコンビニ袋をしっかりと握り直し、学校までの道のりを軽い足取りで歩いた。


─────────…
(どうしたの?)
(知らないおじさんがこっち見てた)
(え、不審者!?)


雲の空耳と独り言+α
紫ノ薊




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