僕の生徒を紹介します







学年一のイケメン。
すらりと伸びた長身と、甘いマスク。
裏表のない、優しく明るい性格。

彼は学校一モテる。


完璧な男の三つの弱点
園江優についてのまとめ



「ゆーうー」


僕のクラスの園江優は、誰よりもモテる。先輩からもモテていたし、タメはもちろん後輩も。そして、教師までも、虜にする。


「呼び出しー」

今日の昼休みもまた、呼び出された。



「優はほんとモテるね」なんて声が飛ぶことはない。もうそれは日常化されていて、呼び出されないことの方が珍しいとすら言われるのだから。


「マサー。園江の親ってあんな感じなのか」

園江優と一番仲の良い友達、波田野マサ。彼へと投げられたその質問。波田野は顔色ひとつ変えずに「お袋さん、優と同じ顔してる」と、視線をあげた。

園江の父親は彼が生まれてすぐに亡くなったと聞いている。だからだれも、園江の父親の顔はしらない。


「優、お袋さんには弱いよ」

波田野は机の横にぶら下げていたコンビニ袋からおにぎりを取りだし、その日何個目かのそれを口へと運んだ。


「なに、園江マザコン?」

何故だか輝く、クラスメイトの目。

「いや、そうじゃなくて…あいつのお袋さん、レディースの総長やってたような人でさ…」

「見た目は優にそっくりでかなりの美人なんだけどなー」と呟くように続けて、波田野は廊下で女の子を相手にする園江を見つめた。


「へー…」

「なあ、他には?なんかないのかよ、園江の弱点」

そして始まる、イケメンの穴探し。


「優の弱点…?」


見た目、性格ともに問題なし。成績不振も見られない。


「ほら、マサはガキの頃からの付き合いだろ?あいつの苦手なものとかさ」


「ん〜優の…」




園江は自分の穴探しをされていることなど知らないままに、告白されている。


「あ、脇腹!」


一瞬の沈黙。
どうやら園江は、くすぐりに弱いらしい。普段からじゃれ合っている二人ならではの弱点だ。

「そんなことかよ。んなのみんなじゃねえか」

「もっとこうさ…お化け怖いーって泣くとか、ナニが下手とか」


「……優天然だからか知らないけど、怖がることないなあ。ナニがどうのこうのは俺もしらない。女子に聞け」

昼間からなんなんだと言うように、波田野はため息をついた。


「はぁ〜園江は完璧だなー」

「もうよくね?俺園江になら抱かれても良いよ」


「それ言うなって。男として落ちぶれてくぞ」


盛大なため息。
いや、つきたいのは周りの女子だろう。
完璧な園江のダメな場所。


「あっ」


「なに、あんのか!?」

「辛いの苦手だよ」

………
よし、じゃあ園江のお母さんもつれて激辛鍋でも食べにいって、こちょこちょで締めるか。


唯一上がった三つの弱点。そんな弱点も、女子からは“かわいい”と言われる。
園江くんはどこまでも、完璧な男の子みたいです。

そのあと何もしらない園江はいつも通りの爽やかな微笑みで「ただいま」と戻ってきた。


天然イケメンほど、厄介なものはないかもしれない。


──────────…
(…え、なに?どうかした?)
(あ、いや、なんでもない)
(あ、彼女できたかもしれない)

………忌々しい。


配布元:雲の空耳と独り言+α
管理人:紫ノ薊様






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